洋上風力の最前線で、事業者として決断していく。
機械メーカーから中部電力に転職してきた友國さん。転職に求めていたのは「事業者の立場でプロジェクトを牽引すること」「洋上風力という未知の世界に挑戦すること」でした。立場を変え、前例がない中で奮闘する友國さんに、仕事のやりがいや醍醐味を聞きました。
友國 純志 / 2022年キャリア入社
再エネCP プロジェクト推進部 洋上風力グループ(インタビュー当時)
学生時代は土木工学部で都市計画を専攻し、都市の経済モデルのシミュレーションなどを研究。卒業後は、環境・機械・インフラなど幅広い技術領域を持つ機械メーカーに就職し、水力発電所に使用する水門・水圧鉄管の設計を担う。2022年の中部電力入社以降は、浮体式洋上風力の実現に向けた調査や技術検討を中心に、洋上風力の最前線で活躍している。
転職理由
事業者側に立ち、より広い視野、より高い視座で挑戦したかった。
――― メーカーから転職しようと思った理由はなんでしょうか?
事業者側で活躍したかったからです。前職では技術面やコスト面を検討しながら、電力会社やゼネコンなどの顧客に対して、最適な水門・水圧鉄管を提案していました。ですが年次を重ねるほど、メーカーの立場でできる範囲に限界を感じるように。技術のエキスパートとして価値を発揮することにやりがいは感じていましたが、事業者として仕様を決め、プロジェクトを牽引していきたいと思い転職を決意しました。
――― 転職活動では中部電力以外も検討していましたか?
はい。他企業の選考も受けていて、最後まで悩んだ企業が他に2社ありました。そのうち1社は勤務地の懸念がありました。その企業では水力発電の担当になる可能性が高く、勤務地も発電所近くの地方になるため断念しました。一方、中部電力は名古屋勤務ということで、暮らしやすさや利便性に安心感を抱きましたね。もう1つの会社は火力発電の業務でしたが、歴史が長い分技術も完成されており、これ以上技術を改良する余地が少ないのではと感じ、「洋上風力」という新規性の高い技術に携われる中部電力を選びました。
――― 新しい仕事、新しい技術に対し不安は感じませんでしたか?
「技術領域」や「立場」など、新しい挑戦だったので、不安がなかったかというと嘘になります。ですが、挑戦が楽しみな自分もいました。とくに洋上風力はまだ専門家が少ない分野。誰もが同じスタートラインに立ち、挑戦していくことが求められます。むしろ、自分自身がこの分野の実績を築き、先駆者になっていける醍醐味があると考えていました。
現在の仕事内容
正解が無いからこそ楽しい。浮体式洋上風力の“基準”をつくる。
――― 現在の仕事内容を教えてください。
洋上風力の中でも「浮体式洋上風力」の設備に関する業務全般を担当しています。とくに、浮体構造物の精査や浮体式洋上風力に関連する調査等が主な業務です。水深や地盤条件などさまざまな要素を考慮して、設置場所に適した構造物などを検討しています。
――― 仕事のやりがいはどんな点でしょうか?
「前例がない」という点です。前職では、技術的な要素はほぼ完成されていました。明確な基準書が定められており、不明点が生じても手順書を参照すれば問題解決が可能でした。しかし浮体式洋上風力に関しては、まだ明確な基準書やガイドラインが確立されていないため、メーカーも含めて試行錯誤を繰り返している状態です。だからこそ、「自分たちで基準もつくっていく」というプロセスに大きなやりがいを感じます。
――― 仕事で戸惑った点はありましたか?
洋上風力では海外メーカーとの関わりが多く、特有の商習慣や業務の実施方法には戸惑うことがありました。仕事のスタンスや距離感はもちろん、海外の洋上風力開発地点の進捗や事業者とのバランスを考慮した交渉など、初めて経験する要素が多く最初は苦労しましたね。ただその分さまざまな経験を積めましたし、結果として成長する機会になったと思います。
――― プロジェクトはどう進めているのでしょうか?
浮体式洋上風力はまだ発展途上段階にあるため、関係者や社内のチームメンバーと議論と協議を重ねながらプロジェクトを進めています。メーカーなどにはそれぞれエキスパートが揃っており、また中部電力のメンバーもそれぞれ異なる専門分野で強みを持っています。それぞれの強みを活かしながら、より良いプロジェクトにしていくためにも議論と協議は欠かせません。
前職時代との比較
構造力学など基礎の考え方を活かしながら、新しい知識を磨いていく。
――― 前職時代の経験は活かせていますか?
前職で取り組んだ水門や水圧鉄管も、現在取り組んでいる風車も大きな括りで考えると、同じ「鉄の構造物」であるため、構造力学の考え方などを活かすことができています。また、前職では設計をしていたこともあり、設備の構造や仕組みを理解できたときに面白さを感じます。
――― 洋上風力の知識はどう身につけましたか?
入社後に一から学びました。浮体式洋上風力はまだ前例も少ないので、先行している着床式洋上風力プロジェクトを進めているメンバーからも意見を聞き、浮体式に活かせることがないかと試行錯誤する日々です。
――― 例えばどんな知識が新たに必要になりましたか?
まず洋上風力という分野では、気象条件や海洋条件の知識は欠かせません。計画や技術にも影響を与えるため、設計面でも考慮する必要があります。また事業者側として働く中で、技術以外の要素の重要性も実感しました。とくに海外メーカーとの取引の場合、契約書の記載内容で全て決まるということもあるので、法務部門と連携して契約書の記載内容一つひとつに慎重に向き合うようになりました。
――― 働き方やプライベートではどんな変化がありましたか?
在宅勤務も活用しやすいですし、休暇についても、チームメンバーとコミュニケーションを取ったうえでカレンダーに登録しておけば、問題なく取得できます。チームで取り組んでいるからこそ、お互いに助け合いながら働けています。あと私は名古屋での生活自体が初めてなのですが、とても暮らしやすいですね。東京へも、実家の大阪へも行きやすいですし、なにより名古屋がコンパクトな都会なので買い物もレジャーも便利だと感じます。
――― 最後に、今後の目標について教えてください。
浮体式洋上風力のスペシャリストとして、エンジニアに近い視点を持つだけでなく、事業者として事業全体を俯瞰して最適な事業戦略を立案できる人材を目指したいです。また、プロジェクトにはさまざまな方々が関わっています。明確な目標の言語化やコスト、スケジュールの管理などマネジメント力も磨きながら、洋上風力の最前線で活躍していきたいと考えています。